別のまち

津波に襲われない高さにどんどん土が盛られて、公営住宅のビルが建ち、広い道路ができあがりつつあるここには、たくさん仕事を教えていただいた上司や、アルバイトで雇ってくれた先輩や、貧しい母のための将来の夢を語った若者や、地域の困りごとをともに悩んだおじさんや、憧れの人がいた。
道も家も人もなくなって、別のまちになってゆく。
ここを気仙沼市幸町(さいわいちょう)という。