コロのこと

今週のお題「ペット大好き!」

昔、コロと名づけた犬を飼っていた。妹がどうしてもほしいとせがんで飼うことになったものだ。
雑種で、胴が長く足が短く、薄茶色の毛がふさふさしていた。
散歩は私の役だったが、満足な時間はとれなかった。
日曜日の夕方ぐらいは、裏山に登り、学校の生垣を抜け、丘の向こうの川岸に着き、じゃばじゃばとじゃれついて帰ってきた。
そのうち、私はまちを出て、妹もまちを出た。コロの面倒は父母が担った。
数年後、まちに帰った私は、また散歩の役に戻ったが、年老いたコロにはもう力がなかった。
勤めから家に戻ると、コロは横たわったままだった。
もう30年も前のこと。
縁の下のコロの居場所は、今もあのころのままだが、妹は、もういない。