大川の白鳥の小さい歴史

気仙沼の市街地を流れる大川に、白鳥がやってくるようになってから、もう何年たっただろう。
だれかが実物大の白鳥の模型を川沿いに置いたのが始まりでした。
「南下するときだったか、北上するときだったか、上空から見下ろした大川に一羽の仲間が寂しそうにしていた。どうかしたのかと、舞い降りた。
でも、やつは何も言わない、動かない。
でも、おれたちを迎えて、人間は、食べ物を持ってずいぶんやってきた。まあ、ここも悪くない。
噂はシベリアにも伊豆沼にも流れ、気仙沼で年を越す家族も増えた。
人間も、うれしそうに迎えて、食べ物も大量だった。仲間は200羽ぐらいになったかな。
そして、鳥インフルエンザだ。
人間は、遠くに去っていった。そんなものだ。」
気仙沼の冬がいいって、今いるのは20羽ぐらいです。