甘美なジュース

今週のお題「お弁当の思い出」

これはいいお題でいっぱいありそうだが、まずは遠足から。
海苔のおにぎりと卵焼きというのは不動のチャンピオンで、遠足先の草原(くさはら)や海辺で食べたことを思い出す。外で友達と食べるというのがうまいが、加えて、水筒に持っていったジュースのうまいこと。
粉末ジュースというもので、オレンジ味が主流だった。3センチか4センチ四方の小袋に入った粉末を水筒に入れて、水を注ぎ込んでふたをして、ジャカジャカ振って、粉末を溶かしておしまい。出かける前にほんの少し味見をして、ふむふむと納得して、お昼の時間を待った。
おにぎりとジュースという、家では禁断の取り合わせは、草原とか海辺とかの環境による加点や、友達とか可愛いあの子とかの情緒による加点を越えて、味としてうまかったのである。
文字どおり甘美な思い出を作った人工甘味料チクロは、やがて、身体に有害だとして、使用が禁止された。昭和30年代から40年代にかけてのことである。